「土のデザイン」第五弾!ドリーム畑の彩りをアーカイブ!

2022年12月12日、真冬の鹿児島に暖かい日差しが降り注ぎました。

晴天に恵まれたこの日、皆のドリーム畑であるSS Soil Studioの生態系を楽しく記録する「バンドルダイ製作ワークショップ」が開催されました。

「バンドルダイ」とは?

布の上に直接置いた植物から蒸す工程で色を抽出する染色方法で、別名エコプリントやボタニカルダイとも呼ばれます。

現在はクラフトやアート作品に使われることが多い技法ですが、バンドルダイの歴史を辿ると、古代ギリシャの薬理学者(pharmacologist)が”植物の記録”として用いていたのが始まりだったということが文献に書き残されています。

11月にドリーム畑に種をまき、苗を植えてから約1カ月、畑にはさまざまな変化が起きています。

蒔いた春菊が芽を出して、
エンドウの苗は力強く成長し、あっという間にたくさんのエンドウが実りました。

ドリーム畑の生態系を可視化するために、
さらに観察を深め、現時点での畑の彩りをアーカイブするために、
「バンドルダイ作り」を決めました。

観察、という言葉は小学生の授業を思い起こすかもしれませんが、
じつは植物学者の研究もフィールドに出て目の前の生態系を観察し、記録するという基本からスタートしています。

私たちは、畑で土を触り、育て、収穫するという楽しいプロセスを通じて、実は五感を使いながら学び、考えているのです。

この日のミッションは2つ:

1.個々のドリーム畑の可視化:45cm四方の布に各畑の植物をピックアップし、その生態系を観察し、色を写しとること。

2. ドリーム畑の全体視覚化:ドリーム畑のサイズを縮小した長さ3メートルの布に、対応する畑の位置で各畑の植物をピックアップし、その生態系を色として写しとること。

染めるための植物を集めながら、「観察シート」を使って、畑の観察と記録も行いました。

先月はどんな苗を植え、どんな種をまいたのでしょうか。 さて、今畑には何種類の植物があるのでしょうか?
どのような昆虫や動物の痕跡が現れましたか? 蝶やてんとう虫以外に訪れる昆虫は?

畑には、植えていないのに自然に生えてきた野生の植物がたくさんありませんか?
畑の端に残された小さな黒い穴は、どんな昆虫や動物の足跡なのでしょうか?
そんな難問を、一気にプロの福元農園の福元さんに訊きました。

畑にある全ての種類の植物の採集後、植物が白い布の上に並べられた様子はアート作品のようでした。

キャンバスの上では、植物は絵の具のようなもので、その自由な発想に任されています。

まだ染まってはいないですが、太陽の光に照らされた植物を並べただけで、すでに芸術作品のような出来栄えです。
この段階でも、自分たちの畑で観察した変化や発見をお互いに共有しました。

普段から畑や庭をやっている参加者の皆さんは、野生の植物も含めほぼ全ての名前が上がったのがさすがで、

「このスギナは雑草と言われるけれど、お茶にすると薬効があってね・・・」
「雑草であっても、根っこを残して上だけを刈り取ると、根っこが菌たちの住処になって土にはいいのよ。手間はかかるけれどね。」

という実践的な深い学びまで。

次に、その布を春巻きのように包み、大きな鍋で蒸すプロセスに移り、
約1時間後、ついにサプライズのようなワクワクする開封の儀です。

元の生地はオフホワイトの生成色で、そこに皆の畑の淡い黄色、水色、ラベンダー、淡い赤が点在して、ドリーム畑の植物染料で彩られています。

ドリーム畑の生態系可視化「バンドルダイ製作ワークショップ」、大成功!

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Satsuma Future Commons

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