SFC 「土のデザイン」プロジェクト、まちにまったキックオフ!

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2022年9月2日、台風11号が鹿児島に暴風を吹かせる前日の午後、「Satsuma Future Commons」の「土のデザイン」プロジェクトのキックオフイベントが、サーキュラーデザイン拠点Re:storeで行われました。

合計13名の市民・県民・関係者に加えて、3名の子どもたちが一緒に盛り上げました。

当日のタイムテーブルをチラッと見てみると、こんなワクワクするプログラムがあります。

土とデザインって?

まず、薩摩川内市経済シティセールス部産業戦略課の白桃からのご挨拶と、株式会社リ・パブリックの神尾さんからの「Satsuma Future Commons」の説明を聞いた後に、九州大学大学院芸術工学研究院のトッキー(稲村徳州)先生のレクチャーが始まりました。

テーマは「人間中心のデザインのその先」というもの。
まずトッキー先生が「デザインってなに?」という質問を投げかけるところから始まり、「デザインは人間のためのものか?」、「そもそも人間ってどんな存在なのか?」といった問いが続きます。

スライドには、人間の身体の割合の「57%」という数字が出てきて、何のことかと考えていると、実は人間の細胞構造の57%、常在菌や腸内菌など自分以外の生命体が占めているという驚愕の事実!

57%!半分以上!(びっくり!)

この事実を確認した後にデザインの主題に戻ると、
「人間のためのデザイン」といった時の対象も違って見えてきます。これまでは漠然と「一人の人間」をイメージしがちだったと思いますが、一人の人間の中にも多様で複雑な存在が共生しているという事実。もしかしたら「次世代のデザイン」は、「人間中心」から「ポスト人間中心」に移行しないといけないかもしれません。

自分自身が色々な生き物の集合体だということを意識したうえで、土や土の中に住む様々な命と向き合うことはとても大事ですね!

続いて、(株)リパブリックの尾形さんから、土のデザインの事例紹介がありました。Sony CSL(Sony Computer Science Laboratorie)の「協生農法」、医師の桐村理紗さんが提唱した「プラネタリーヘルス」、「鎮守の森」で自生種が作る土壌等々、「土」の奥深さを感じさせるてくれる事例ばかりでした。

五感で土を体験!

この日は、薩摩川内市の南に位置する南さつま市から、スペシャルゲストが参加してくださいました!南さつまの有機農園「福元農園」のお若い農家の福元さんです!

福元さんは小さい頃、おじいさんの家庭菜園で作られた野菜のおいしさに衝撃を受けたことがきっかけで、自然農法の世界に飛び込んだということです。

福元さんには、福元農園からシラスの砂、畑の土、田んぼの土、梅園の土など、6種類の土を持ってきていただきました!

土壌が異なれば、保水値、浸透率、養分貯蔵量も異なることや、同じエリアでも土壌の性質が異なる場合があることなど、福元さんが詳しく説明してくださいました。

福元農園さんでは、主として肥料を使わない自然農法を行っています。その代わりに、植物そのものを肥料の一種として利用する「緑肥作物」という農法をとっています!

土壌の栄養分を高める「緑肥作物」を栽培することで、肥料を使わずにおいしい野菜や果物を栽培することができるのだと、福元さんが寛大にも参加者へ秘訣を教えてくれました。

福元農園さんから届いた土が目の前にあったので、思わず手を伸ばしたくなったり、鼻を近づけたくなったりして、うずうずしている参加者のみなさん。ここで「五感で土を体験する」タイム!

手で触るだけでなく、こすってみたりもしました。

嗅覚でも感じてみて、無臭!?海の匂い!?説明できない香り!?など、自分の感覚を他の参加者とも共有し合いました。

あえて味覚で味わう人もいました。

今回は、直接農園に足を運ぶことはできませんでしたが、五感で農園を体験することができました。ゲストの福元さんに感謝です!

土の中で散歩?瞑想の土体験

土の五感を体験した後は、トッキー先生がリードした瞑想アイディエーションタイムです。

トッキー先生の指導のもと、参加者は目を閉じて心を鎮め、自分がどこかの地下に潜り、土の中を散歩している姿を想像し、最後に絵で表現しました。

地中の世界はどうなっているのか? 匂いや温度の違いは? 土の中を歩くと、どんな生きものに出会えるのでしょうか。

瞑想を通して、ミクロの視点から地球との新たなつながりを体験することができました!

ワークショップで自分と土の関係性を考え直す

続いて、ワークショップの時間です。

参加者が3つのグループに分かれ、それぞれの活動と経験、そして土の多様な生物との関連性を共有して、最後には、一枚の絵に描いて見せ合いました。

竹炭を作る方からは竹林のイノシシやミミズの話があり、お米関連の仕事をされている方からは田んぼのカエルやカメ、ネズミの話がありました。

私たちが実は多様なかたちで土と繋がっていることを再認識できました。

一緒に竈(かまど)でご飯を作りました!

最後、当日のハイライト!

参加者の原田さんが8月にオープンしたばかりの「ライススタイルショップハラダ」に、参加者みんなでお邪魔しました。

こちらはお米をテーマした、珍しい竈(かまど)体験ができる体験型施設です。

竹のざるで米を洗って、温泉水を入れて、そして竈に薪を入れ、マッチで火をつけました。

それで終わりではないですよ!竹筒を使って竈の中に空気を送り込まないといけないですね!

「初めて竈でご飯を炊いた!」「初めてマッチで火をつけた!」など、大人から子供まで、今までしたことがない体験がたくさんできました。

「昔は、火でご飯を炊き、残った薪で味噌汁を炊き続け、薪を無駄にすることはありませんでした」と原田さんの説明。

「ライススタイルショップハラダ」は、昔の生活の知恵を再現した台所教室だなあと実感しました。

竈で炊いたお米と味噌汁、そして福元農園の新鮮なピーナッツと里芋。
本当にシンプルな料理ですが、深く味わえる晩ご飯でした。

味覚を通して、私たちは食べ物を作る農家さん、食べ物を育つ大地と直接つながっていることを実感していました!

次回、「土のデザイン」プロジェクトから目が離せません!
お楽しみに!

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Satsuma Future Commons
Satsuma Future Commons

Written by Satsuma Future Commons

Satsuma Future Commons(薩摩フューチャーコモンズ)は、薩摩川内市・九州大学大学院芸術工学研究院が共同で推進する、サーキュラー都市デザインの先駆者が研究・実践を行う国際的でオープンな拠点です。

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